日本に『建築家』の国家資格はありません
という標題で、『えっ?』と思うか『そうだね・・・』と思うか、あなたはどちらでしょうか?建築家資格制度実務委員の大田です。4月にセミナーも行い、釈迦に説法かもしれませんが、少し『建築家』について触れておこうかと思います。
十数年前にフランスのモンサンミッシェルに向かうツアーの道中、とあるレストランで同じツアーに参加していたフランスの貴婦人に話しかけられました。
(ナンパではありませんよ)
貴婦人:『あなたは何の仕事をされているのかしら?』
大田:『・・・建築家です。』若造でしたのでちょっとビビリ気味に。
貴婦人:『えー!!すごい!!建築家だなんて、若いのになんてすばらしい!!』
建築家と言っただけで、人生で後にも先にもこんなにびっくりされたのはこの時だけです。数分間称賛され続けました。あまりに賛辞が強くて恐縮してしまい、『まだまだキャリアをスタートしたばかりですから・・・』と逃げ腰になってしまいました。
この時、あれ?日本とフランスでは建築家の立ち位置が違うのでは?と強く感じたのでした。一体どうなったら建築家と胸を張って言えるのだろう?皆さんはこのラインを明確に言えますか?
随分後になってわかりましたが、ハードルが大きく異なるようです。
欧米は『建築家』の資格で日本は『建築士』の資格です。この二つは似ているようで実はその守備範囲が異なります。野球の守備で例えて、建築士はファーストのみを守るとします。対する建築家は、ピッチャー、キャッチャー、ファースト、セカンド、サード、ショート・・・要するに・・全部です。固い表現にすると、建築士は技術資格で建築家は職能資格です。街づくりや環境デザイン、依頼者の保護や文化に対する責務といった皆さんが設計する時には必ず考えている能力が、日本の国家資格には規定されていません。また、建築家になるためには建築家が育てなければなりません。そう、皆さんが知る映画スターウォーズのジェダイと同じです。その能力、文化を継承していく仕組みです。
そうすると日本はかなりヤバイのではないだろうか?と思うわけです。様々なものが伝承されていかない・・・その場その場でモノが作られていく・・・あー
これに危惧を感じた方はぜひジェダイマスターになりましょう!
という活動をしています。建築家をきちんとした国家資格にする。
わかりやすくないですか?
最後のジェダイにならないように、前へ!