61:「 冬の簾 」 住宅雑誌リプラン76号(2007年4月1日)より一部転載 雪の金沢は美しいというので、この二月に金沢で会議を持った。今年は暖冬のせいで北陸の温泉場も雪がなかった。しかし、その晩たっぷりの雪が降っ…
60:「 終着駅 」 住宅雑誌リプラン75号(2007年1月1日)より一部転載 久しぶりに函館に来た。四十五年も前、船底のぎゅうぎゅう詰めの三等船室のこと、小雪のちらつくなか接岸するのを見ながら甲板に並んだこと、とて…
59:「 アルベロベッロ 」 住宅雑誌リプラン74号(2006年10月1日)より一部転載 アルベロベッロ到着は、夜遅くになった。 ガイドが朝食の後に案内してくれた集落は、全てがとんがり帽子で、見ているだけで、顔がほこ…
58:「 水ぬるむ 」 住宅雑誌リプラン73号(2006年7月1日)より一部転載 東京台東区にある彫刻家・朝倉文雄の旧宅を利用した朝倉彫塑館は、建物と渡り廊下でぐるりと囲まれた中庭をすべて池にしている。湧き水を利用し…
57:「 また来ます 」 住宅雑誌リプラン72号(2006年4月1日)より一部転載 「大理石がいっぱいあってびっくりした。川でいっぱい遊んで楽しかった。また来ます」。 長いテーブルに置かれたノートには、アルテピアッツ…
56:「 合掌造り 」 住宅雑誌リプラン71号(2006年1月1日)より一部転載 白川郷の合掌造りを見たいと思っていた。合掌造りとは、手を合わせてから、手元を少し広げた形のことを言うが、その大きな屋根の萱を葺き替える…
55:「 丘を造る 」 住宅雑誌リプラン70号(2005年10月1日)より一部転載 オランダのデルフト工科大学の図書館は、ゆるやかな丘に埋まっているように見える。丘のまんなかには、図書館に光を入れるための円錐形の塔が…
54:「 微 風(そよかぜ)」 住宅雑誌リプラン69号(2005年7月1日)より一部転載 今年は、五月になっても寒い日が続いて桜もおくれた。寒さが続いたせいか、こぶしも桜も木の芽もいっせいに開いたように、爽やかな春の…
53:「 続・焼失 」 住宅雑誌リプラン68号(2005年4月1日)より一部転載 新しく建て直した家が、昨年十一月に出来上がり、無事に引っ越した。引き渡しのときに「よくできた。なんといっても大工さんたちが、手間を惜し…
52:「 名作 」 住宅雑誌リプラン67号(2005年1月1日)より一部転載 「建築家が建てた幸福な家」という本が、永いあいだ住宅雑誌にかかわってきた女性記者から出された。どの住宅雑誌にも、出来たばかりの美しい住まい…